雪国で育ったので、ココナッツとか見るともう旅というか、外国気分になる。でも外国でココナッツを見かける機会は少なかったように思う。基本的に一人旅で、あまりリゾートの海辺とかに行かないからかもしれない。初めての海外旅行がケアンズのビーチで、思いっきりリゾートだったから、意識的に避けてたような。一人で泳ぎもしないでビーチなんて様にならない。
だから初めてマトモにココナッツに遭遇したのも、ビーチじゃなくてカンボジアの路上だった。知り合った友達とトゥクトゥクみたいなのに乗っていて、立ち寄った売店で売っていた。ガソリンがコーラの瓶とかに入れて売られていて、一リットルとか小分けでタンクに入れられるガソリンは、満タンになる事なんて無さそうだった。そこで熱の照り返す土の上に並べられたココナッツから一つ選んで、ナタでバンバン削って行って、空いた穴にストローを刺して飲む。ぬるくて美味しくない。ただ雰囲気は最高に良い。
近所のイオンでココナッツを発見して買ってしまった。オールドココナッツ?とりあえず冷蔵庫で冷やして飲んでみたけど美味しくなかった。冷えていようがいまいが、好みなんだろうけど美味しくは無い。2つに割って中の果肉を食べてみたけどこれも美味しくない。硬いし、なんだかお菓子で食べるココナッツ味とは全然違う気がする、ただ匂いだけはとても良い。
果肉を剥がして殻を器にしようと思って試行錯誤してみた。冷蔵庫で冷やすとか、電子レンジで温めるとか情報が出るけれど、結局殻と果肉の間に隙間を作るイメージでバンバンと叩いて、その後隙間に色々突っ込んで、剥がしてみたら綺麗に取れた。ストローを突っ込むために空いた穴に、棒を突っ込んで塞いで、ビールを飲んでみたら最高に良かった。
中南米あたりの部族の、偉い人になった気分。キャンプに行ったらこれで謎の飲み物を回し飲みしたい。試しにコーヒーも飲んでみたけれど、温度的にも問題なかった。ただ、底が不安定でずっと持ってないと倒れそう。
別の日、別のイオンでまたココナッツを見つけた。ヤングココナッツ?タワシかヘチマみたいな、押すとへこむ皮に包まれていた。タワシを掻き分けて、柔らかい所を探してストローを突っ込むらしいけど全然刺さらない。後から見たら殻に三つの窪みがあって、ここじゃないと刺さらないらしいからかなり難しい。なんとか刺さって飲んでみたけどこれもあんまり美味しくない。でもオールドよりは飲みやすかった。こっちの果肉は柔らかくてプルプルしていて、そのままでも食べられる。殻もなんとなく柔らかい。
飲み終わった後、鉢植えか小物入れにしようと思って上の部分を切り落とした。タワシのままにしておこうと思ったけれど、カビが生えそうだし全部毟ってスクレーパーで削いでみた。
全部ムシって毛のまばらな殻を見ていたらなんか似たものが思い出された。ペルーで見たロボトミーの後の頭蓋骨みたいだった。丁度丸くてココナッツの頭蓋骨みたい。生き物みたいでなんだか愛着も湧く。中身を全部掻き出して蓋付きの入れ物みたいになった。可愛い。
玉ねぎの先端みたいになっていて立たないから、底をのこぎりで切った。これも色々飲んでみたけどかなり良い。絶対に倒れるから持ってないといけないけど、次の旅行にはこれを持って行きたい。蓋も出来るし。なんか原始的な食器と言うか、これだけで別世界な感じ。自然界には鍋の代わりになるものが無いから、鍋は手放したらダメだって何かで聞いたけど、こんなに理想的な器もあまり無いかもしれない。なんだかしっくり来るし。
↑途中経過。かなり分厚いタワシに包まれている。ヤングココナッツはイカ刺しみたい。醤油を付けて食べたら美味しかった。オールドの方は電子レンジで乾燥させたら焦げた。その後、砕いてカレーに入れてみたけど微妙。キャンプで食べたり飲んだりは面倒かもしれないけれど、器だけはいい感じ。
結構いろいろな所に行ったけどココナッツはどこにあったんだろう。リゾートビーチに行けばあるのかな?次にココナッツに会うのは何処なんだろう、ちょっと楽しみ。イオン以外で見つけたらまた飲んでしまいそう。たとえそれが美味しくなくても。